四つの企業形態の中でも、株式会社は事業を拡大し、会社を大きくしていこうと考えている場合に適している会社組織です。将来、会社が大きくなった場合には、株券などを発行することにより、広く一般の人々から資金を集めやすいなどのメリットがあります。また、株式会社という名前から、顧客に対するネームバリューもあり、社会に対する信用も大きいというメリットがあります。
反面、決算書の公告や監査役の設置が義務づけられることや、会社役員に任期があるなど会社を運営していく上で規制も多く、運営していく上での費用もかかることになります。
会社法によって、株式会社の仕組みも大きく変更しました。その要点は以下の通りです。
項目 |
改正前 |
改正後(新会社法) |
最低資本金 |
1.000万円 |
1円 |
銀行の保管証明 |
必要 |
残高証明で大丈夫 |
類似商号 |
類似商号の場合、変更の必要あり |
変更の必要なし |
現物出資の際の検査役の調査要件 |
資本金の5分の1未満かつ500万円未満なら不要 |
総額500万円未満なら不要 |
事後設立の検査役の調査 |
設立後2年以内に資本の5%以上の対価必要 |
廃止 |
取締役の人数と任期 |
取締役3人、任期は2年 |
原則3人以上、任期は最低2年 |
監査役の人数と任期 |
最低1人以上、任期は4年 |
原則1人以上、任期は最低4年 |
取締役会 |
必ず設置 |
設置自由 |
取締役の書面決議 |
不可能 |
定款記載の範囲内で可能 |
会計参与 |
なし |
新設(決算書等の信用性が高まる) |
利益の分配(剰余金の分配) |
中間配当を含めて2回、金銭以外の配当は規定なし |
定時株主総会だけでなく、いつでも株主総会を開いて決議すれば可能 |
従来は、株式会社の機関設計は、原則、会社の規模に関わらず3人以上の取締役・1人以上の監査役を選任しなければいけませんでしたが、会社法によって、機関設計は非常に柔軟になりました。
新会社法の機関設計は、株式譲渡制限の有無・会社の規模で次のように2つに大きく別けられます。
株式譲渡制限のない大会社は、コンプライアンス(法令順守)が求められ、厳格な機関設計が必要となります。したがって、取締役会は必ず設置しなければなりませんし、監査役会もしくは委員会(指名委員会・監査委員会及び報酬委員会)のどちらかも必ず設置しなければなりません。さらに会計監査人も設置しなればならないのです。
これに対し、株式譲渡制限のある中小会社は、定款自治により、自由な機関設計が認められ、取締役会の設置は任意となります。取締役会を置いた場合は、3人以上の取締役が必要となりますが、置かない場合は取締役1人でもかまわなくなりました。
そして、取締役会を置いた場合は監査役の設置も必要となりますが、その場合でも会計参与(公認会計士・監査法人、もしくは税理士・税理士法人)を置けば監査役の設置は不要になります。
分類 |
取締役会 |
監査役 |
監査役会 |
会計監査人 |
会計参与 |
|
公開会社 |
大会社 |
義務 |
義務 |
義務 |
義務 |
任意 |
中小会社 |
任意 |
任意 |
||||
非公開会社 |
大会社 |
任意*1 |
義務 |
任意 |
義務 |
|
中小会社 |
義務 |
(置く) |
||||
中小会社 |
取締役会設置時のみ義務*2 |
(置かない) |
||||
委員会設置会社 |
義務 |
設置不可 |
設置不可 |
義務 |
||
*1:監査役会を設置するときは、取締役会を置かなければならない。
*2:ただし会計参与を設置する際、監査役は置かなくてもよい。